日本一般用医薬品連合会 - 一般用医薬品業界の連携を強化し、様々な課題について取り組みを進めます。

お盆直後、もっとも暑い時期に行われた今回の審査会、対象となったテレビコマーシャル64件、新聞広告1件のうち、「不適正」は新聞広告の1件のみでした。

とはいえ、いくつか気づいたことがありましたので、挙げてみます。

「しみ、そばかす、日やけ・かぶれによる色素沈着の緩和」を効能にうたった製品のドラマ仕立ての生ＣＭ。帽子やサングラスで日焼け対策をしていた女性が、この薬のことを知って「これで気軽にお出かけできるね」と言う——視聴後、もやっとした違和感が残りました。もちろん制作サイドが伝えたいのは、ここまで神経質かつ大げさに防御しなくても大丈夫、いまは良い薬もありますから、ということなのだろうと思います。しかし、もはや紫外線が人体に与える悪影響については広く論じられているところで、怖いのはしみやそばかすだけではないし、どんなに効果のある薬でも、飲みさえすれば帳消しなどということはありえないでしょう。

予防と対策、その二つが揃ってこその健康管理という考え方を、上手に浸透させていくのも、一般用医薬品メーカーに求められる姿勢ではと考えます。

また、複数回にわたって放映された目薬の生ＣＭでは、或る成分の配合量が自社シリーズ中で最も多いのを、単に「最大量配合」としか言っていない回がありました。文字情報としてはきちんと書かれていたのですが、一般的にテレビコマーシャルというのは、ちょっとした息抜きの時間でもあり、画面を注視している人は少ないだろうと考えれば、60秒の長尺にはやはり文字と音声両方での告知が必要と思うのは私だけでしょうか。

もう一つ、コンタクトレンズと同じブランド名で発売された目薬がありました。こちらは、薬の働きについての言及は「モイストパックテクノロジーがコンタクトレンズを潤いで包みます」という台詞のみ。この技術の説明も、効能効果も、字幕で表示はされるものの、画面を一時停止でもしない限り読めません。「コンタクトレンズケア用品と誤解されるようなイメージ」との指摘もあったものの、採決では多数の委員が「不適正」とまでは言えないと判断をしたようでした。しかしながら、医薬品の情報を正確に伝えるという観点から見れば、改善の余地は大いにあるのではというのが私自身の見解です。

友人と話しているときなど、「薬よりサプリメントのほうが気軽で安心」というニュアンスの言葉を聞くことがあります。もちろん「いやいや、それは違うでしょ」と訂正しますが、こういう誤解は、珍しいことではない気がします。

今回の審査対象に「健康食品ではありません。医薬品です」というＣＭがあったのは、上記のような誤解を正していきたいという姿勢のあらわれかとも思います。後日、たまたま目にした同製品の新聞広告ではさらに「医薬品とは？ 薬事法に基づき、有効性、品質、安全性について評価され厳格な管理が行われている、病気の治療などに使われるお薬のことです」と書かれていて、たしかに、最近の健康食品やサプリメントの膨大な宣伝量を思うと、このような当然のことでも、きちんと説明していく必要があるのかもしれないと感じました。

「適正」「不適正」の狭間の、「何となく違和感がある」「ちょっと気になる」を素通りせず、率直な意見交換をすることが、その医薬品を本当に必要とする人のもとに正しく届ける広告のあり方を探る一助になればと願っています。

以上