前回から審査方法のルールが異なり、CMを不適正とするかどうかを問われるようになったのですが・・・。そこには、若干の認識の異なりがあり、少なからず混乱が生じたように思います。CMが不適正な場合に挙手をするわけですが・・・。これは、白か黒。○か×かの二者択一です。でも、中止するほどではないけれど、なんとなくグレー、これでいいの・・・。少しこの点を配慮してほしい・・・。などの意見があるものもあります。それは、どうすればいいのか?前回は、その点は意見を言うという意味で、不適正として手を挙げて下さいだったはずなのですが・・・。今回は、あくまでこのCMを中止すべきと思うものにのみ、不適切として挙手をし、あとは議事録として残すとのこと。
では、前回、私が手を挙げたのは???別に中止でなくてよかったのにも手を挙げていました。もちろん、これは私に限らず「意見をいう意味で」なんて言葉を添えて挙手されていた委員も。最初だから仕方ないことかもしれませんが、ルールは、全員がきちんと共通認識で臨むことが大切です。
この委員会での不適正との判断が、CMの中止や内容変更につながっていく。確かに、今までも真剣に議論を交わしていたのですが、私の中には、どこか今のCMと言うより、次回作られるときは、こんな事を考慮して作っていただきたい。と、薬剤師として生活者の薬の適正使用に寄与するCMという視点で意見を言ってきたように思います。しかし、審査方法のルールの変更は、このCMが生活者に誤解を与えるものか、適正使用を阻害するものか・・・。といった視点での議論へと大きくシフトすることになったと感じました。
この委員会での結論は、企業側にとってCMの中止や変更につながり、金銭的にも大きな問題となることだけに、前回の審査会の見解に関して、企業側からの回答をもとに再度意見交換が行われ、再度採決が行われるという、緊張感が走る審査会であったように思います。
今回の審査で、不適正とされたビタミンC主薬製剤は、様々な視点から問題があげられていました。
・初回限定当別価格
・1億2千万錠突破
・紫外線特別セール
・しみから外出も嫌がっていた母のために開発
・隠れジミまで画面で・・・
女性の美容における3大の悩み。シミ・シワ・タルミ。今の、私の顔にはシミがないけれど、シミ予備軍はいっぱいかも・・・。そんなに使用されているのか・・・。これから紫外線も強くなる季節だし・・・。そうか、お母様のために・・・。優しそうな人。この人が開発したのなら・・・。今なら、半額か・・・。美しさを失うことに対する不安を抱かせるこのCMを見たら、やはり試してみようかな・・・。と、乱用を助長する可能性の高いCMです。
しかし、一方で化粧品売り場に行くと、あなたの10年後の顔のシミは・・・。隠れジミが写る近紫外線(UV)感度カメラで撮影した私の顔。高級化粧品に思わず手を出す私がいます。消費者心理。CMの意味。複雑な思いがありました。でも、やはり薬のCMとして品格を失わないことが大切です。そして不安感を煽る化粧品の販売形態も見直されるべきです。
ところで、最近、消費者からのクレームでCMや商品の販売が中止になりマスコミで話題となっています。カエルのキャラクターが登場する缶チューハイのテレビCM。「カエルのキャラクターの使用が未成年者の関心を誘い、飲酒を誘発しかねないとの指摘を受けたため。」だという。これって本当。
マスコミやネットでは、この中止は行き過ぎではとの意見が大勢を占めています。ま、中止したことで、多く取り上げられ話題性はいっぱいだし、インターネット上で、このCMの動画サイトの再生回数も多く・・・。と、うがった見方をされる方がある一方で、このくらいのクレームでCMを中止する企業姿勢への指摘を見ていると、なんだか悲しくなってきます。どうかクレームが薬のCMに飛び火しないように願わずにはいられません。
以上 |