連合会の活動

広告審査会について

~ 第232回 広告審査会 ~

日時 平成25年4月22日(月) 14:00~17:00
場所 日本OTC医薬品協会 第一会議室
審査委員 (第三者委員) 亀井昭宏、古澤康秀、瀧澤晶子、堀 美智子
(広告委員会委員) 船橋 誠、楠 亨、宮瀬昌行、 川庄 尚、脇本貴司、諸田 隆、青島修治、上村 浩
実務部会代表 梅岡 久、近藤 寛
審査対象 テレビ広告     35素材
新聞・雑誌広告   23素材
        合計58素材
広告収集期間 テレビ広告      平成25年1月31日~平成25年3月26日
新聞・雑誌広告    平成25年2月 3日~平成25年3月30日

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審査概評  広告審査会委員長  亀井 昭宏

○今回は審査素材の件数が普段よりも若干少なかったこともあり、問題があるのではないかと思われる広告についてはかなりの時間をかけて審議を行なうことができた。とくに話題となったのは「医療用成分配合」という、いわゆるスイッチOTCに関わる表現についてであった。ご案内のように『OTC医薬品等の適正広告ガイドライン』では、申請区分により若干の差はあるものの一定の範囲内で発売後3年間に限って、もしくは先発品が販売されてから3年以内であればスイッチOTC(医薬品)という表現をすることができる(「初めて」については発売後6カ月の範囲内で)と定められている。しかし、基本的に認められている表現の範囲はあくまでも事実の提示表現であって、「スイッチOTCないしは医療用成分配合だから効く」という表現はできない旨の事例が『ガイドライン』には明示されている。
 今回話題になった事例においては、「医療用成分が配合されているから良く効く」という暗示的な要素が前面に出ている感じで、そのために、逆にその薬が何の薬であるのかがわかりにくくなっている印象が強かった。出席委員の間では「よく効く」という側面よりも、「十分に注意して使用すること」や副作用の説明により注意を払うべきではないかという感想が出されていたことを付記しておく。審査の結論は「注意」や「話題」でもなく、「審査会メモ」という形で残すということになったが、関係者の方々にはぜひ強い関心と注意を持って広告制作に当たって頂きたいと祈念している。

 もう一つの大きな話題は、審査会において「注意」や「話題」という結論に至った広告についての広告主製薬会社への広告審査会からの照会に対して、まったく回答がなされない事例の存在についてであった。改めて申し上げるまでもなく、OTC医薬品広告の適正化のために業界を挙げて取り組んでおられる現状の中で、こうした事例が存在することは本当に残念でならない。審査会での審議事項の事前洗い出し等の作業を含め、OTC薬品の適正な広告の在り方について相当のエネルギーと時間を割いて検討をされている実務委員会のメンバーを初め、審査会に出席されている業界側委員の方々が自社の立場を離れてきわめて客観的かつ公平な視点からOTC医薬品広告の在り方について真剣に討議され奮闘されていることをぜひお汲み取り頂いて、該当する製薬会社並びに担当者におかれてはぜひ適切なご対応をお願いしたいと切望するものである。

○OTC医薬品とは直接的関係はないものの、今年の春に入ってからわが国では風疹の流行が、またお隣の中国においては上海市とその周辺の省での新型鳥インフルエンザ「H7N9型」の感染の広がりが憂慮されている。
 わが国における風疹の流行は、患者数が既に昨年の3倍を超え、特に妊娠の可能性のある若い女性を中心にして予防接種が呼び掛けられているものの、ワクチンの品薄状態が続いているとのことであった。報道等によれば、風疹の単独ワクチンはもともと供給量が少ない上に、風疹と麻疹を一緒に防ぐMRワクチンは主として小児科で扱われるために、内科などの一般開業医では「風疹のワクチンはない」等と断わられる場合がこれまでは少なくなかったとのことだが、事態の重要性に迫られた医師会や自治体では小児科以外の開業医に対してのMRワクチンの供給を含めてワクチンの供給態勢を既に整えつつあり、後は該当者の積極的な接種への行動が期待されるところまで来ていることは、私ごとで恐縮であるが、該当する未接種年代の娘を有している身にとっては本当に心強い限りである。
 これに対して中国における新型の鳥インフルエンザの感染の広がりは、中国政府関係者の発表によればきわめて小規模な形ではあるが日々拡大していることが憂慮される。上海市及びその周辺の数省に留まっていた感染患者の発生が、北京市や台湾にまで広がり、4月末現在で120名を超える患者の存在が確認され、死者も20名を上回るという事態になっている。
 わが国の厚生労働省は4月下旬になってこの新型鳥インフルエンザを感染症法に基づく「指定感染症」とすることを決め、近く政府は政令を閣議決定して5月上旬の施行を目指すことになったとのことである。こうした指定は2006年の「H5N1型」インフルエンザの発生以来3例目とのことであるが、中国側からの情報が必ずしも鮮明ではないこともあり、万全の対応が期待されるところである。現状では、世界保健機構(WHO)の発表も含めて、この新型鳥インフルエンザが「パンデミック」を引き起こす可能性はそれほど大きくなさそうだが、油断大敵であり、何が起きても国民が慌てふためくことがないような十分な準備だけはぜひ進めて頂きたいものと念願している今日この頃である。
 私自身高齢者の仲間入りをし、日々体力の低下を実感している身にとっては、病気への耐性をどうやって維持していくかが課題である。健康に留意した規則正しい生活を送ることによって、ちょっとした病気ないし疾患にも油断することなく早め早めの対処を心がける必要性を痛感している。医師への相談や早めの診断もそうだが、文字通りのself‐medicationを実践することによって常に健康の維持に努めることの意味を、最近の上記2例の感染症流行のニュースに接しながら実感しているところである。それだけに、OTC医薬品についても適切な情報を消費者(国民)が良く理解できる形で、そして適切なタイミングで提供して欲しいと強く希望している。

以上

 
 
審査結果 
テレビ広告
解熱鎮痛薬
指摘箇所:

<画面・音声>
内服薬の服用シーン

見  解:

<注 意>
内服薬の服用シーンを表現することは可能ですが、乱用・助長を招かないためにも同一画面に明確に用法・用量の記載をお願いします。

〔基準3(5)〕〔基準4〕
指摘箇所:

<画面・音声>
腰痛状態から服用シーン後の回復シーン(服用前後でネクタイを変えているが全体的な背景は変わっているように見えないシーン)
「飲んですぐに効く」

見  解:

<注 意>
解熱鎮痛薬は速効性表現が可能ですが、全体の流れに加え、「飲んですぐに効く」と表現することにより、たとえ服用前後でネクタイを変えているとはいえ、速効性表現の強調となります。また効能・効果及び安全性に過大な期待を与える恐れがあります。

〔基準3(6)〕〔基準3(8)〕
上記については、第225回及び第231回審査会においても既に指摘させて頂いております。 改めて注意させて頂くとともに、直ちに改訂をお願いします。
 

第232回広告審査会では、以上のほか次の品目が話題になりましたので、ご参考までにご紹介しておきます。

テレビ広告
鼻炎用内服薬
指摘箇所: <画 面>
「1日1錠1回」
<音 声>
1回飲めば1日効く
見  解: <話 題>
この薬剤の用法・用量は「1回1錠を1日1~2回服用」であり、生活者にとって過剰摂取になる情報ではないが、2回飲まなくてはいけない生活者からすると正しい情報ではない。画面上、1~2回服用と本来の用法・用量を抑えとして表記していますが、非常に小さく、1回で効くといった利点を強調する意図が伺えます。正しい情報伝達をお願い致します。
〔第2広告を行う者の責務〕
解熱鎮痛薬
指摘箇所: <画面・音声>
「○○○速溶錠」
見  解: <話 題>
「○○速溶錠」と一連で言うと販売名と誤認を与えます。正式な販売名が分かるように表現してください。
〔第2広告者の責務〕
指摘箇所: <画 面>
「希望小売価格 値下げ」
見  解: <話 題>
「値下げ」をキャッチコピー的に使用し、アピールするような広告は医薬品の品位を損なう恐れのある広告であり、乱用助長にもつながる。
〔第2広告を行う者の責務、基準4、基準15〕
指摘箇所: <画 面>
12錠4日分の表示。
見  解: <話 題>
「○日分」という表記が、連続使用を思わせるのではと話題になった。○回分という表記が望ましいという意見があった。
〔ガイドライン11、基準4〕
指摘箇所: <画 面>
使用上の注意が小さい。かつ、「値下げ」の文字が目立ち過ぎて「使用上の注意」への注視が妨げられている。
見  解: <話 題>
使用及び取り扱い上の注意を喚起する必要のある医薬品です。その場合、画面の大部分(3分の2)を占めなくてはいけないが半分以下である。
〔基準8〕
上記①の点については、第225回、第231回審査会において、②③④については第231回審査会においても既に指摘させて頂いております。改めて注意させて頂くとともに、直ちに改訂をお願いします。
 
新聞雑誌
ビタミンC主薬製剤
指摘箇所: <文 字>
シミ・そばかすでお悩みの方に朗報。
見  解: <話 題>
「朗報」という言葉が即NGという訳ではないが、保証的な表現ではある。
〔基準3(6)〕
指摘箇所: <紙 面>
文中のアンケート結果に出典がない。
見  解: <話 題>
広告中でデータを活用する場合は、そのデータの出典を明瞭に記載する事。
〔ガイドライン7(3)〕
指摘箇所: <紙 面>
広告中に開発者の体験談が記載されている。
見  解: <話 題>
体験談的広告は客観的裏付けとはなりえず、効能効果又は安全性について誤解を与える恐れがある。
〔ガイドライン7(5)〕
指摘箇所: <文 字>
初回半額
見  解: <話 題>
「初回半額」をキャッチコピー的に使用し、アピールするような広告は医薬品の品位を損なう恐れのある広告であり、乱用助長にもつながります。
〔第2広告を行う者の責務、基準4、基準15〕
指摘箇所: <文 字>
5100万錠突破
見  解: <話 題>
当該OTC医薬品が製造販売された期間の事実のみを淡々と述べるのは構いませんが、数字を強調すると保証的になる。
上記内容については、第229回および第231回審査会においても同様の指摘をさせて頂いております。審査会判定基準によると、「話題」は、内容について、改訂することが望ましいものとされており、適正基準を逸脱する広告であることには変わりありませんので、ご配慮願います。
以上
 



OTC医薬品TV CM VTR収録リスト

広告主 商品名 秒数
佐藤製薬 ユンケル黄帝液 15
武田薬品 アリナミン{7・ゼロ7} 15
グラクソ スミスクライン コンタック{600ファ-スト・600プラス}(鼻炎Z) 15
クラシエ薬品 カンポウ専科{麻黄湯・竹茹温胆湯} 15
クラシエ薬品 カンポウ専科 小青竜湯 15
ノバルティスファ-マ ザジテンAL{鼻炎スプレ-α} 30
ロート製薬 和漢箋 ロ-ト小青竜湯錠(ロ-ト小青竜湯錠Ⅱ) 15
久光製薬 アレグラFX 15
久光製薬 アレグラFX 30
興和新薬 コルゲンコ-ワ鼻炎ジェルカプセル(鼻炎フィルム) 15
興和新薬 コルゲンコ-ワ鼻炎フィルム(鼻炎ジェルカプセル) 15
佐藤製薬 ストナリニS 15
佐藤製薬 ストナリニZ 15
大正製薬 パブロン鼻炎カプセルS(パブロン点鼻クイック) 15
第一三共ヘルスケア エ-ジ-ノ-ズク-ル 30
龍角散 {龍角散・龍角散ダイレクトスティック} 15
エスエス製薬 ガスト-ル 細粒 15
大幸薬品 正露丸{糖衣A} 15
ライオン スマイルコンタクトAL-W{マイルド・ク-ル} 60
ライオン スマイルコンタクトAL-W{マイルド・ク-ル} 60
ライオン スマイルコンタクトAL-W{マイルド・ク-ル} 60
ライオン スマイルコンタクトAL-W{マイルド・ク-ル} 60
ライオン スマイルコンタクトAL-W{マイルド・ク-ル} 60
ライオン マイル40プレミアム 60
ロート製薬 アルガ-ドクリアブロックEX 15
ロート製薬 アルガ-ドクリアマイルド 15
武田薬品 マイティアアイテクトアルピタット(N) 15
興和新薬 ザガ-ドコ-ワ整腸錠PC 15
大正製薬 コ-ラックファ-スト 15
ロート製薬 メンソレ-タム メディクイックH 15
池田模範堂 ムヒHD 15
小林製薬 命の母 15
小林製薬 アイボンAL 15
日本臓器製薬 ラックル速溶錠 60
養命酒製造 養命酒 30


 


新聞広告審査対象リスト
広告主 商品名 媒体名
ロート製薬 メンソレータムメディクイックH 読売新聞
ロート製薬 アルガードクリアブロックEX 読売新聞
救心製薬 救心総合 読売新聞
富山常備薬グループ キミエホワイト 読売新聞
大正製薬 パブロン鼻炎錠S 日経新聞
武田薬品工業 アリナミンA
アリナミンEXプラス
読売新聞
キタニ 喜谷実母散 読売新聞
富山常備薬グループ キミエホワイト 読売新聞
再春館製薬所 痛散湯 朝日新聞
興和 アイフリーAL 朝日新聞
再春館製薬所 痛散湯 読売新聞
大正製薬 プリザエース注入軟膏T 日経新聞
ノバルティスファーマ ザジテンAL点眼薬
ザジテンAL鼻炎カプセル
ザジテンAL鼻炎スプレーα
朝日新聞
大正製薬 パブロン鼻炎錠S 朝日新聞
救心製薬 救心 朝日新聞
大正製薬 パブロン鼻炎錠S 読売新聞
興和 アイフリーAL 読売新聞
興和 アイフリーAL 朝日新聞
池田模範堂 ムヒHD 朝日新聞
救心製薬 救心 朝日新聞
興和 アイフリーAL 朝日新聞
龍角散 龍角散ダイレクトトローチマンゴー 朝日新聞
大正製薬 プリザエース注入軟膏T 読売新聞

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