日本一般用医薬品連合会 - 一般用医薬品業界の連携を強化し、様々な課題について取り組みを進めます。

　1月から3月にかけてのテレビコマーシャルを中心に審査が行われた226回は、ちょうど花粉症シーズンとあって、鼻炎薬の多さが目立ちました。
　私自身、スギ花粉をはじめとするアレルギー性鼻炎に悩まされるようになって長いのですが、ひとくちに鼻炎と言っても、鼻づまり、くしゃみ、鼻水など、さまざまな症状があり、それに対応して薬もいろいろ出ていますから、自分に合った薬を見つけるまでにずいぶん時間がかかりました。
　その経験からすると、広告では、どんな症状にどう効果があるのか、その薬の特徴をわかりやすく知りたい、というのが最重要ポイントです。審査会でもその点に注意して見ていますが、今回は、各社、上手なアピールが多かった印象が残りました。
　ただ、「話題」になった１本に、「体質だからと、あきらめていませんか？　その鼻炎。今年の春は漢方で、内側から改善してください」とナレーションが流れ、「え、漢方で？」とパッケージを手に取る女性が映った画面の下部に、今度は「※体質を改善する漢方薬ではありません」とのテロップが出る──というものがあり、これには正直、びっくりしました。
　一般に、CMの時間は、画面を注視するというより、ぼんやり眺めたり、目を離して音だけを聞いたり、という方が多いのではないでしょうか。既に実務部会での指摘を受け、制作サイドでは改訂を約束されたとのことですが、映像と音声と文字という三つの要素で成り立っているテレビCMにあって、互いが矛盾するというのは、あってほしくない不注意だと思います。
　CM画面を注視するケースは少ないのでは、という推論に立って言えば、広告審査会委員長からの、「第○類医薬品」の表示について、大きさを統一するなど、視認性を重視して見やすくする工夫を、との提案は大変有意義なことと感じました。
　と同時に、一般の消費者は、この分類について、どの程度知っているのだろうかという素朴な疑問もわいてきます。ちょうど今、OTC医薬品協会が本年2月～3月にウェブサイトで実施したアンケート結果がHP上で公開されていますが、それによると、OTC医薬品が第1類、第２類、第3類の三つのグループに分類されたことを「知っている」人が50.2％、「知らない」人が49.8％で、前回調査よりは「知っている」人が2.4％増えて過半数を超えた、とのこと。
　確かに少しずつ認知度は上がっているのでしょうが、ではグループ分けの意味は？　となると、自分の周囲で聞いてみても、よく知らない人がまだまだ多い気がいたします。
　たとえば生CMなどで、そのあたりのアナウンスをもっと積極的に行う会社が出てきてもいいのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

　症状に合った薬選び、という観点からは、現在は「かぜの諸症状の緩和に」とひとくくりになっている感冒薬の説明において、二つ以上の症状を具体的に入れる方向での広告基準の改訂が検討されている、との報告を事務局より伺いました。実現されれば、選びやすさがさらに増すことと思われます。

　気がつけば、天候不順と言われ続けて今年の半分が過ぎようとしています。何となく風邪っぽい、などとOTC医薬品を購入する人は多いことでしょう。
　15秒、あるいは30秒という限られた時間の中で正しく有益な情報を伝えるために、さらなる工夫がなされていくことを期待しています。

以上