日本一般用医薬品連合会 - 一般用医薬品業界の連携を強化し、様々な課題について取り組みを進めます。

　画面に映し出された、○○○キャンペーン実施中の文字。「クローズキャンペーンかオープンキャンペーンか不明との意見。」「しかし、オープンキャンペーン実施中と記載されたとしても、一般の方ではその意味は何？」「商品を購入しなくても、どなたでも応募できます。そんな具体的な表記がないとわからないのでは…。」との意見から、実務部会で検討いただくことになりました。
　ところで、先日、一般の方向けの薬の本の監修を頼まれました、薬効別に薬を紹介するものです。薬効別という言葉、私にとっては普通の誰でもわかる用語だと思っていたのですが…。編集長からNG。薬効別ではわからない人がいるとの意見。彼からの提案は、用途別。なんだか、違和感がありますが、結局、用途別ということになったのですが。CMの中の、用語についても時々、お客様にこの意味わかります…。意識しないで使用されている業界用語。その言葉が一般の人にとってどうか、時々、立ち止まって考える必要性を感じさせられました。
　「１日１本」ドリンク剤の服用について、この表現は大丈夫です。でも、毎日１本はダメです。との解説。そうか、納得なんて思ってうかがっていたのですが、その後新聞記事に出てきた。つらい「毎日頭痛」…。毎日起こる頭痛。いわゆる頭痛持ちの人のことを表現されたと思われるものです。もちろん、頭痛が起こらなければ、薬をのむわけではないし、毎日１回鎮痛剤と言っているわけでもないし…。しかし、これはやはり問題です。頭痛学会から出されている「慢性頭痛診療ガイドライン」には、薬剤長期乱用に伴う頭痛の特徴とその予防のための鎮痛薬の使い方について、以下の記載があります。

鎮痛薬乱用の特徴 
　1か月に 15日以上起こる片頭痛様頭痛や1か月に15日以上起こる片頭痛様頭痛と緊張型頭痛様頭痛の混合した状況の主要原因は，片頭痛の対症療法薬または鎮痛薬もしくはその両方の乱用である。

　薬物乱用頭痛の予防と治療の原則は， ①原因薬物の中止，②薬物中止後に起こる頭痛への対応，③予防薬の投与，の 3 つであるが，確立された治療法はない．薬物乱用頭痛は，患者が急性治療薬を乱用している間は予防薬にほとんど反応しない．日ごろからエルゴタミン製剤，鎮痛薬，トリプタン薬などの使用頻度（月10日以上）とならないよう管理し，かつ患者教育をすることが必要である。

　この、ガイドラインの内容から１カ月に15日以上、頭痛のために鎮痛剤を使用する人は、OTC薬でのセルフメディケーションの限界を示すもので、その鎮痛剤の使用の中止と、頭痛予防薬での治療の必要性を示しています。しかし、一方でこの内容は、頭痛でのOTC薬の鎮痛薬の使用は、１か月に10日以内であれば安心して使用してもらえることを示すものでもあります。OTC薬の適正使用のための情報として有用です。審査会の中で私が一番印象に残ったのは、この“毎日”という言葉でした。

　また、今回はラジオのCMのナレーションについても審査が行われました。成分濃度アップ。爽快感もアップ。…。何に、比較して…？？？映像では、当社比と記載できても、ナレーションだけでは表現は無理とのことで。これは大丈夫となりました。しかし、医薬品分類番号などは今後どうなるのか。限られた、わずか数秒の中で、規制された言葉を入れ込むと、本当に伝えたいことが埋没してしまう可能性もあります。音声のみでの情報伝達のむつかしさを考えさせられました。

　真剣に、CMに向かい合う方々。注意されたCM。それに対しての回答。すでにこのCMは中止しています。今後使用する予定もない。注意を受けるようなCMをしたほうが、商品が売れる。むなしさを感じる時でもあります。OTC販売に関与する薬剤師、登録販売者に、この審査の内容を知ってもらいたいと思うとともに、多くの人に薬の理解力を養うための教育が広く行われることを願っています。

以上