日本一般用医薬品連合会 - 一般用医薬品業界の連携を強化し、様々な課題について取り組みを進めます。

　今年の暑さは一体どうなっているのでしょうか。異常気象、異常気象という言葉を聞きながらも、こんな暑さがあたりまえになっていくのではと不安が頭をよぎります。この暑さから、熱中症を発症する方も多く、室内での発症者についてもマスコミで取り上げられていました。
　ところで、高温環境下においては、その使用に対して注意が必要な薬があります。ブチルスコポラミン臭化物を主成分とする鎮痙鎮痛胃腸薬。この薬の医療用の添付文書には、慎重投与（次の患者には慎重に投与すること）として、高温環境下の患者［汗腺分泌を抑制し、体温調節を障害するおそれがある］と記載されています。しかし、この成分を同じ量含むOTC薬の商品の添付文書には高温環境に関する注意はありません。
　熱中症で亡くなった方々を調査した海外の文献では、汗を出にくくする抗コリン作用を有する薬剤や、体温調節中枢に関与するドパミンに関係する薬剤を使用中の患者での熱中症の発症に注意が必要であるとしています。
　また、摂氏35度以上の高温になると体外への熱の放散はほとんどが汗を出すこと、すなわち汗の水分の蒸発に依存することになります。1ミリリットルの汗が蒸発するためには、0.589キロカロリーの熱量が必要です。体重60キログラムの人が、夏の暑い日に一時間当たり300ミリリットルの汗をかいたとします。そうすると、熱の産生（体内で熱がつくられること）がないものと考えれば、体温は約3.5度引き下げられます。しかし、発汗機能が阻害されている場合は、１時間に約3.5度、体温が上がる可能性があります。体温36.5度の人なら、１時間後には40度、２時間後には43.5度にも上昇することになるわけで、生命の危機ということになるのです(Pharma Medica 5<5>-104 1987)といったデータを紹介しているものもあります。
　生活者に向けて書かれたOTC薬の添付文書。あまり一般的でない事は書かれていないのかも知れませんが、今年のような暑さを経験すると高温環境も一般的になるのかなと、それに伴いOTC薬の添付文書も検討していただけないかなと思えてしまいます。
　ところで、今回の審査会で議論されたことの中で「続けなきゃね…」という表現です。薬の使用の継続に関しては、薬効毎に大きく異なります。継続してほしい薬。一時的に使用に留め、症状改善後はすぐに止めてほしい薬。このような継続に関しての表現については、関係者で検討をしていただくことになりました。店頭で継続については、一体どのくらい使用し、どのくらいで止めるのか。「しばらく…。」と表現される曖昧な情報。えいやー！と期限は限定できるものではないのでしょうが、やはり販売に関与する薬の専門家に対しては、目安になる情報を提示していただけないかといつも思っています。
　審査会では、もちろん映像を見ながら検討するわけですが、時々音だけの情報だったとしたらどんな情報として受け取れるか考えるようにしています。そんな時、画面上のわずかなただし書き、でも音声は…。音だけの情報だと伝えていることが正しくないのでは？と、思えてしまうものがあります。例えば、最大量配合。ただし書きで、当社商品で比較。事実です。問題にすべきことではないのかも知れませんが…。時々きになってしまいます。
　ビタミンＢ群の働き、それ本当だろうか？CMで伝える内容は薬の本質を伝えているのだろうか。と、悩むものに遭遇いたします。薬の理解力を養う教育が学校教育でなされていない日本で、CMに対して正しい薬の使用に関する情報提供の役割を担ってほしいとい願うのは無理なことなのでしょうか。
　健康食品やサプリメントのCM。あまりにひどい、乱用を助長するCM。見ようによってはやりたい放題。そんなサプリメントのCMに薬のCMが引っ張られていかないように、薬のCMとして品位を保つことの大切さを、広告審査会に出席するたびに思います。

以上