日本一般用医薬品連合会 - 一般用医薬品業界の連携を強化し、様々な課題について取り組みを進めます。

　今回、気になった点を二つ上げます。
　一つは、「○○処方」「最大濃度配合」といった表現です。
　審査会では、専門家の先生もいらっしゃるため、「具体的にはどのような処方なのか？新しい処方か？」「濃度が最大＝効果が最大、とは限らないのでは？」などと疑問が出るわけですが、薬学・医学の知識がない私にしてみれば、そういう意見を伺うまでは、単純に「新処方」であったり「最大効果」であったりを想像していることが多々あります。そしてそれは多分、テレビCMを見ている大多数の消費者にあてはまることではないのでしょうか。
　限られた時間のなかで、他の製品との違いを効果的に伝えるために、皆様がさまざまな工夫・苦労を重ねておられることは、わかります。上記のような表現も、新味を加えて差別化するためかもしれません。
　ただ、ごく普通の感覚からすれば、「処方」「濃度」などの言葉は、薬学用語、医学用語と思って当然ですよ、とお伝えしておきたいと思います。

　もう一つは、かねがね申し上げていることながら、美容的・化粧品的アプローチについてです。
　「からだの中から美肌へ」という直接的表現がNGなのはもちろんとして、“話題”となった目薬のCMも、個人的には気になりました。うさぎの着ぐるみが女子生徒を追いかけ、充血しているから目薬をさすよう迫る、コミカルな映像です。これだけマンガっぽく扱われているので、少しオーバーな表現でもあまり気にならない、という見方もある半面、私などは、「本当に目薬が必要なほどの充血なのだろうか」とも感じています。
　女性、特にこの年頃の女の子にとって、「真っ白な白眼」というのは憧れ。このような表現が高じていけば、化粧品的な使い方につながらないとも限らないことが懸念されるのです。

　多分、次回からは改正薬事法にのっとった広告が登場することと思います。春先には、新聞等のメディアで「何が変わるか」といった広報記事もしばしば見かけました。
　ただ、私自身の実感としては、薬局に行っても、テレビコマーシャルを見ても、ほとんど変化を感じることはない、というのが正直なところです。
　実際に、「第１類医薬品」を買う段になれば違うのでしょうし、基本的に丈夫だという個人的背景もあると思いますが、「もっと上手に市販薬を使いこなしていきましょう」という側面から考えれば、あまり市販薬と縁のない人々に、いかに有益かつ正確な情報を与えるか、その良い機会なのに、という気もします。失礼ながら、「OTC医薬品」という言葉からして、まだまだ一般に認知されているとは言いがたいでしょう。
　今後の変化を、期待しつつ見守りたいと思います。

以上