日本一般用医薬品連合会 - 一般用医薬品業界の連携を強化し、様々な課題について取り組みを進めます。

　新型インフルエンザの話題でもちきりだった本年も、終わろうとしていますが、広告審査会でも、インフルエンザに関連してCMが目立つようになった消毒剤などが目にとまりました。インフルエンザの予防という概念から、市場が大きく拡大した。そんな影響がうかがえます。
　審査会というと、ともすればCMの中の問題点だけが論議されるように思われるかも知れません。確かに、その広告が、規定から外れていたり、生活者に誤解されるような内容が含まれていないかといった視点から検証するのですから、広告上の問題点が議論の中心になるわけですが、「これはとてもよいCMですね。」といった意見も寄せられます。今回は、手洗い、うがい、マスクなどの大正製薬さんの風邪の予防について啓発してるCMに対して、「こういうCMはいいですよね…。」との意見が、委員より寄せられていました。商品を売るためだけでない、セルフメディケーションへの啓発や生活者の健康を考えての視点が…の中に見られるとき、生命関連物質である薬のCMだけに、ホットするものを感じます。
　広告の中での言葉の使われ方、映像から受けるイメージ。今回の審査会の中では、映像についての意見が出ました。ぱっくり割れた指先。大きくひび割れたかかと。この映像が不快で見たくなくなる。そんな意見もありました。血液ドロドロのイメージ映像…。
　いくらイメージ映像といっても「百聞は一見にしかず」こんな映像から、血管の中がこんなになっていると誤解する方はいらっしゃるのではと思えます。こんなひどい手荒れ、これはセルフメディケーションの限界を超えているのでは、いささか行き過ぎた映像表現には少し配慮していただきたいと思わずにはいられません。
　「子供のテレビ広告等への使用に関する取り決めのなかで、子供が自分で医薬品を手に持ったり、使用する場面を用いることは思わぬ事故を促すもとともなるので、使用しないようすること。」という規定に反するのではという点で、注意喚起されたCMがありました。OTC医薬品の誤飲による中毒事故が、いろいろ報告されています。添付文書にはお子様の手の届かない所においてください。と、いった注意も記載されています。CM作成時にも、その商品を安全に有効に使ってもらうためには…。そんな視点を忘れずに作成していただくことを願っております。
　「OTC医薬品における「漢方処方」表現は、原則としてOTC医薬品として承認されている漢方210処方か、承認を受けた販売名に漢方の名称が付されているもの。」この規定から注意を受けたCMがありました。確かに、この規定には反します。でも、商品は漢方薬だよね…。いいではないですか、これくらい。と、言いたくなる気持ちを、ぐっと押しこんで。議論を聞いていました。結論は、明快。現段階ではルールに従うこと。当たり前といえば当たり前です。そうでなければ、ルールを作成している意味がありません。でも、漢方処方表現については、少し検討してみるとのことでした。時代を反映したものとして規定も変化していくことが必要です。
　注意の根拠となる点で案外多いのが、基準３（１）や３（６）（１）承認を要する医薬品等についての効能効果等の表現の範囲。（６）効能効果等又は安全性を保証する表現の禁止。でした。予防薬ではないのに予防的に思えてしまったり、確かに速効性を保証しているように見えるかな…。そんなCMが、毎回繰り返されているようにも思えます。
OTC医薬品が売れなければ、意味がありません。広告の意味は…。と、考えるとき、生活者の誤解から、誤った使用で問題が起こったり、過度な期待をいただかせてしまったり、事故につながったとき。その企業が受けるダメージはいかばかりだろうか…。薬のCMにはいつも品位を保っていてほしいと思います。

以上